日本売りの攻撃投資家は、迎撃投資家により撃沈する ( FX、為替 )

ブル−ムバ−グ

日本銀行の金融政策修正による金利上昇は不十分だとして、富国生命保険は現段階で国内債券への本格的な回帰には踏み切らない意向だ。

渡部財務企画部長は、「10年金利の変動幅をある程度広げたことにはそれなりに意味があるが、もう少しイールドカーブ(利回り曲線)が立つような内容を期待していた。われわれの目線からするとまだ十分な金利水準とは言えないので、今の段階では4月に説明した外国債券中心の運用計画を修正して円債に投資を戻すことはない。下期の運用計画を立てるタイミングの9月や10月の時点で30年債利回りが1%を超えてくれば選択肢には入ってくるが、足元の20年や30年債の利回りは明示的に運用計画に織り込んでいく水準ではない」と話した。

日銀は7月の金融政策決定会合で、長引く大規模緩和の副作用に配慮し、従来上下0.1%程度だった長期金利の変動幅を倍程度に拡大することを容認した。これを受けて、新発10年国債利回りは今月2日に0.145%と1年半ぶり水準まで上昇。新発20年債利回りは0.63%、新発30年債利回りも0.86%と年初来の最高に達した。ただ、その後は日銀が予定外の日程で長期ゾーンの国債買い入れなど異例の措置を実施したことで、各ゾーンとも金利上昇は一服している。

富国生命は2018年度の運用計画で、米ドルの為替ヘッジコストが上昇する中、ヘッジせずにオープンで投資する外国債券の残高を増やす方針を示した。円高リスクが高まる局面ではヘッジを機動的に行う。同社の18年3月末時点の総資産は6兆6266億円。

渡部氏は、「グローバルな景気の方向性に不透明感がある中で、円債に戻れるならいつでも戻りたい。市場にある程度委ねてくれるなら当然我々は戻ると思うし、いつでも戻る準備がある。日銀がもう少しイールドカーブを立たせるような政策を取っても、コントロールできないところまで金利が上がるかというと、そこはわれわれがちゃんと買うので問題はない」と述べた。

機関投資家にとって、よく 「日本の30年債利回りが1%を超えてくれば」 円債を積極的に買う意向が示される。

富国生命もさることながら、国内生保最大規模の機関投資家である日本生命も同様な意向。

18年度・日本生命運用計画

同社が4月26日に運用方針の説明会で、18年度の新規資金配分を1兆円強とし、運用方針では国内債券を「横ばいから増加」、国内債券の代替と位置付けているヘッジ外債を「横ばいから減少」させることを明らかにした。

同社は「20年債・30年債の超長期国債利回りが1%を超えてくれば、国債投資を加速する」とした。

現在、

日本10年債利回り 0.091%

日本20年債利回り 0.621%

日本30年債利回り 0.852%

日本40年債利回り 0.996%

と、40年債利回りでさえ1.0%を超えていません。

ですから、外債から本格的な円債回帰へは至っていません。

少し前の7月27日、日本の10年債利回りの上限を試すような動きで利回りは前場に0.105%まで上昇した。

何者かによって1兆円を越す日本国債の現物債での空売りがあったとされ、それは過去最大級の日本国債売りだった。日銀の政策調整により、10年債利回りの上昇に賭けたトレードということでしょうか。

しかし、その利回り上昇で待ち受けていたのは、「空売り歓迎。10年債が0.1%を超えればオレたちが積極的に買ってやる!」という国内機関投資家が相次いだ。まだまだ買い足らないものの、現在の0.09%程度の水準では外債を大幅に処分して円債へ回帰するまでには至らない状況にある。

時折、日本政府の抱える莫大な財政赤字残高により、日本は破綻するというような考えで日本国債空売りするような海外投機筋が現れます。しかし、それが現れては消え、現れて消えるの繰り返しとなっています。

例えば、日本は30年後に財政破綻するだろうと某投機筋が予想し、30年債の莫大な空売りを仕掛けたとしよう。日本国債の債券価格下落を見込み、利回りが2%、3%まで上昇するまで空売りしてやろうと意気込む投機筋、攻撃投資家の場合ですね。

まず、待ち受けるのが、30年債利回りが1%を超えてきたら、本邦機関投資家による円債買いに阻まれる。売り浴びせを行う海外投機筋に、まず国内機関投資家を上回る資金力があるかどうかが問われることになる。上記の富国生命日本生命など、生保企業は機関投資家と呼ばれる存在の中でもほんの一角に過ぎない。損保、その他保険企業、ゆうちょ、メガバンクなどの銀行勢、そして巨鯨と言われる年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など、「ジャパンマネ−」を相手に勝てる投機筋はまず存在しない。現れては消える、その繰り返しとなっています。

で、本邦機関投資家と呼ばれる巨額な資金力を有する企業や資産家も、無尽蔵に資金があるわけではない。おカネが自然と湧いて出てくるわけではなく、現在の運用ポジションで円債買いの資金を捻出するために、ある運用ポジションを減らすことになります。早い話、外国株、外債を処分して円債買いに動くわけです。言うなれば、本邦機関投資家は日本売りの攻撃に対する 「迎撃投資家」 でしょう。

日本=日本政府、というような短絡的な考えですと、日本悲観の考えが生まれます。日本=日本政府、日本企業、日本国民、であるということをわかっている者は、日本売りを仕掛けるようなことはしません。100%負ける、それがわかっているからです。