「『与作は木を伐る』では林業は再生できない」安藤直人、『明日への選択』H30.6

林業を川上とすれば、川中の木材産業が製材し加工し、川下で建築、家具、什器などの形となって、ようやく一般社会で木材が利用される。そこで初めて山に生えていた木が生きる。いかに木材需要の拡大を図るかが、林業再生のポイント。

・木材輸出はここ数年で急拡大し、年間326億円の規模。たとえば、アメリカの家のフェンス用に使われてきたカナダのレッドシダーという非常に耐久性の高い杉材の資源量が減り、価格が高くなってきたので、その代替に日本の杉材が求められている。東南アジアでは使える木はほとんど使ってしまったので、今後の住宅建設に日本の木材が求められる。

・日本では公団の鉄筋コンクリート住宅や小中学校の鉄筋コンクリートの校舎が建て替えの時期。木材はきちんと乾燥すれば、鉄やコンクリートよりも遙かに軽くて強度が出る。犬山城天守閣は5百年前に立てられた木造建築だが、今も健在。木造建築は耐震性も高い。断熱性も高く省エネに効果。木造にすれば、地元の大工さんも活用できる。ヨーロッパでは木を縦横に重ねた構造材による10階建てビルなどが爆発的に利用されている。

林業を守ることは、国土を守り、水を守ること。

■リンク

a. JOG(914) 「懐かしい未来」を開く里山資本主義

 里山の資源を有効活用すると「懐かしい未来」が見えてくる。

明日への選択日本政策研究センター

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