聞き比べ

【Szeryng】

https://youtu.be/c5YMKK-Typo

【Vengerov】

https://youtu.be/rSAMK3kiz5c

【Valery Oistrakh】

https://youtu.be/XIeKwmafCD8

【Lara Boschkor】

https://youtu.be/IsW1ma33eVw

【Isabelle Faust】

https://youtu.be/IGr_txO8F0Y

【Viktoria Mullova】

https://youtu.be/tPWQjjOxjMs

【Stern】

https://youtu.be/sGkwTdhcOz0

前橋汀子

https://youtu.be/TWqRBVqMCtQ

【Kyung-Wha Chung】

https://youtu.be/lkH-lCcz8po

https://youtu.be/V1vnna1iiNg

【Perlman】

https://youtu.be/5bVRTtcWmXI

https://youtu.be/2lPZWJu1QPI

【Kogan】

https://youtu.be/nxuiPqeIJwU

【Heifetz】

https://youtu.be/kJUAkJkty94

【Gil Shaham】

https://youtu.be/jMrLnjp1O_g

【Julia Fischer】

https://youtu.be/l9x0dE5Rda4

https://youtu.be/hIWYFqB1IBk

【Hilary Hahn】

https://youtu.be/QqA3qQMKueA

【Francescatti】

https://youtu.be/3u6QS22oLoQ

【Milstein】

https://youtu.be/U2UyC2VcOj0

【Kremer】

https://youtu.be/lBJBr0Nl_rg

https://youtu.be/DBJPVnJ8m-Y

庄司紗矢香

https://youtu.be/vx4smRlFAnw

五嶋みどり

https://youtu.be/AIltLFq2Uvs

【Thomas Gould】

https://youtu.be/cFmZGnKTmc4

シェリング

此人のバッハ、パルティータ二番

には定評が有るが、録音

毎に、演奏には結構バラツキ

が有る。此人は、名前か

ら見て元々はドイツ系だろ

うが、ポーランドユダヤ人で、

元来、余り理知的な人で

は無いのだろう。だから、

抑制しようとしても必ず

何処かに、内に秘めた感

情が表出して了う。其処

が余りバッハ向きでは無い。

中には、然う言った感情

を善く抑えた物も有るが、

高い構築性の半面、然程

深い精神性は感じられぬ。

とは言え、オーソドックスな演

奏で有り、好感は持てる。

【マキシム・ベンゲーロフ】

ペダルと言う、便利な機械

装置を持つピアノと違って、

バイオリンで和声的多声的進

行を表現する為には、或

程度残響の長い演奏環境

が必須と成り、其アコースティ

ックを計算に入れた演奏が

不可欠と成る。提示部と

再現部の三弦四弦のArp

eggioは、無理に和音にせ

ず、如何にArpeggioとし

て美しくに響かせるか?

を考え無ければ成ら無い。

何故なら、是をオルガンで弾

いた時の間の抜けた響き

に鑑みて、バッハが是をバ

イオリンのArpeggioを想定し

て作曲したと考える方が

自然に思えるからで有る。

だから、此処を力尽くで

無理に和音にしようとす

ると、如何しても音が汚

く成って了い、全体との

整合性が破壊されるのだ。

其が判って無い奏者が非

常に多い。特にStradを使

用する場合、ジャリッとした

低音弦の響きで、全てが

ぶち壊しに成り兼ね無い。

ベンゲーロフの此演奏は、此ホ

ールのアコースティックを善く考え

た緻密な物で、正統解釈

と相俟って、非常に高く

深い精神性を表して居る。

ヴァレリーオイストラフ

名前から判る通り、オイスト

ラフの孫で。横顔等非常に

善く似ている。演奏は中

々良いが、僅かにテンポが

遅く、鈍重に感じられる。

【ララ・ボシュコール】

フィジカルな技量はトップ・クラス

だが精神性に欠ける─と

思って調べて見たら、何

と!未だ十八歳の少女と

知って仰天した!!是は

ウルトラ級の天才で有る!!

然も!如何やらユダヤ人で

は無く生粋のドイツ人の様

だ!是は期待の星だ!!

イザベル・ファウスト

此人通りのピリオド舞曲風

解釈で有り、一切の感情

を排した、ドイツ語で言う

所の、“sachlich”なバッハだ。

だが、思うに、汁粉に塩

を混ぜる様に、極僅かに

或種の感情を隠し味に入

れた方が却ってバッハの理

知的響きが増す様に思う。

全く感情抜きでは矢張り

音楽に成ら無い。いずれ

にしても、此シャコンヌの方は、

ソナタ一番・フーガの様な、楽

譜を改竄して迄、リスナーの

気を惹こうと言う商業主

義は無く、好感が待てる。

【ヴィクトリア・ムローヴァ

上の、ファウストと略同じ解釈

だが、教会の高い天上の

残響が有る分、深みと温

かみが有る。然し、矢張

り無感情では駄目で有る。

【スターン】

まあ、予想通り、何時も

乍らの此人の演奏で有る。

是と言って特に可も無く

不可も無く、悪くも無く、

と言って特段良くも無く、

オペラ指揮者で言てば、ペー

ター・シュナイダーと言った所か。

前橋汀子

楽譜通りの正確さプラスアル

ファで少し個性を出すと言

う無難な演奏は、一昔前

の日本人ソリストの典型だが、

コンチェルトなら其で行けても、

此曲は其では到底無理!

バッハの思想が解ら無けれ

ば、上っ面の美音と技量、

プラス、独り善がりの感情

表現─で終って了うのだ。

キョン・ファ・チョン】

ロマン派コンチェルト等では、寧ろ

理知的な演奏をする此人

だが、此シャコンヌは感情の起

伏が激しいのは如何した

事か?尤も、此人は結婚

出産後、芸風が変ったと

言うのは本人自身も述べ

て居るし、バッハに拘わら

ず最近の此人の傾向は然

うだから、是がKoreanと

しての、此人の本来のメンタ

リティーと言う事なのだろう。

パールマン

美音と歌心と言う此人の

長所が、ソックリ其儘、裏目

に出て了った演奏で有る。

此曲は、実際、弾いて見

ると判るが、提示部再現

部の四弦Arpeggioは、左

手は指が縺れ、右手は弓

が掠れ、音符通りフィジカル

に鳴らずだけでも大変な

のだが、其は装飾音に過

ぎす、同時に旋律線を歌

わ無ければ成ら無い。然

も其上、此旋律線は単な

る歌=Aria等で無く、Ele

mentの一部として、構築

全体と一体を成し、バッハ

の思想哲学を体現して居

り、古典派の様に、メロディ

ーの無いフレーズの継接ぎを

リズムと和声進行で誤魔化

す事も、和声進行、対位

法的処理をメロディーで誤魔

化す事も出来無い。此処

に此作品の演奏困難さが

有る訳で、従って、歌い

過ぎても駄目なので有る。

【コーガン】

Virtuoso時代の人は皆な

同じ。どの時代の、誰の

どの曲だろうと、自分の

遣り方に引寄せて、ワンパタ

ーンの演奏を繰返すだけ!

作曲家と作品世界なんて

二の次三の次なので有る。

ハイフェッツ

其代表が正に此人で有る。

是を聴いて尚、やれ、正

確無比だ、完璧な技巧だ、

日本刀の様な鋭い切れ味、

等と宣う人の耳は節穴だ。

ギル・シャハム

此作品を単なる音楽とし

か見て無い。バッハが解っ

て無い事は演奏から直ぐ

判る。ユダヤ人に取っては、

プロテスタント敬虔主義は、近

くて遠い世界なので有る。

ユリア・フィッシャー

此人のカッチリしたドイツ的完

全主義はバッハ向きと期待

したのだが、外れて了っ

た。キョン・ファ・チョン同様、此

人も協奏曲での理知的解

釈と裏腹に、感情過多の、

らしからぬ演奏と成った。

テンポも、極僅かだが遅い。

ヒラリー・ハーン

ブルッフのコンチェルトと同様、明

らかに、テンポがダレて間延

びして了った演奏で有り、

パルティータ三番のテンションの高

い深い精神性は無い。シェ

リングもパールマンも然うだが、

同じ無伴奏曲集でも、曲

に依って向き不向きが有

り、一つ良い物が有った

からと言って、其人の演

奏全てが良い訳では無い。

演奏家の名前で良し悪し

を云々するのは其辺りが

善く解って無い人で、然

う言うのは、野球やサッカー

のチーム、選手の贔屓と同じ

で単なる好みでしか無い。

況して、如何なるジャンルで

有れ、全集物をコンプリートす

る等と言うのは、音楽センス

O(ゼロ)のオケ馬鹿クラヲタの単

なる“収集癖”でしか無い。

フランチェスカッティ

全体的に何処か可笑しな

演奏で、con sordinoの様

な音色で有るし、笑しな

所で突然、スラーを掛けたり

と、Artikulationも出鱈目

なら、解釈も意味不明で、

是は最早、シャコンヌでは無い。

クレーメル

若い頃の此人はdouble st

opとArpeggioの連続する

此難曲を快速テンポでいと

も簡単に弾き飛ばして居

た物だが、だから何だ?

と言う内容しか無く、「バ

ッハをユダヤ人辻バイオリン弾き

の大道芸にするな!」 と

怒りすら湧いた物で有る。

九十年代半ば頃の此録音

では、クレーメルらしさは後退

したが、精神性も出て来

て、中々良い。だが、此

路線だと、クレーメルでは正統

解釈の本物には勝て無い。

具体的に言えば、是はクレー

メルだけに限った話では無

いのだが、意味不明の恣

意的Agogikに加え、恐ら

くは無意識的なテンポの揺

らぎに因り、曲想が終始

不安定で、全体の構築性

が全く見えて来無いので

有る。矢張りバッハは此人

の体質気質には合わ無い。

クレーメルアルゲリッチだと騒ぐ

オケ馬鹿クラヲタは、クラシック産業

の販促部員に過ぎぬレコ芸

辺りの評論家に、いい様

に洗脳されて了って居る。

庄司紗矢香

出々しと最後の付点音符

のRubato、non vibratoは

舞曲風のperiod解釈だが、

中間部、特に、早いpas

sageは舞曲には成り難く、

二者の間の整合性が無い。

中間部も、意味不明のAr

tikulation、Rubato、Ago

gikのオンパレードで、一貫し

た解釈の全く無い、支離

滅裂な音の推移を腕の良

さと美音で持たせて居る

だけの紛い物でしか無い。

五嶋みどり

此人も、楽譜通り。プラス

アルファで少し個性を出すと

言う無難な、古いタイプの

日本人的演奏だが、其個

性の主張が余りにも安っ

ぽくてチンケで、正統でも無

く、個性の主張も単に他

と差別化を図るだけの全

く意味の無い物では結局、

名前だけで売る、クラシック産

業の商業主義でしか無い。

上っ面の、テクニックだけで此

曲を弾くのは到底無理!

関係無いが、此人にはフル

サイズのバイオリンは大き過ぎ

ビオラに見えて了う。其

所為で、前にも言ったが、

楽器の構えが非常に悪い。

頭頂部を客席に向けると

此人の極度の短頭も判る。

CI(=頭蓋指数)は100を超

えて居るのでは無いか?

詰り幅の方が大きい訳だ。

ミルシテイン

此演奏は私の基準では本

来は選外でボツだが、或コ

ミュで絶賛して居た人が居

たので挙げて見た。曰く、

 この曲は伴奏の無い、た

 だ1台のヴァイオリンよる独奏

 曲。演奏時間は15分にも

 満たない。なのに、スケール

 はとてつもなく大きい!

 嘆き、哀しみ、悔恨、怒

 り、憎しみ、絶望 、期待、

 希望、喜び・・・人間の

 あらゆる感情が作品に詰

 まっている。(中略)

 ある意味、狂気・・・

細かい事を言えば、バイオ

リンの数え方は「1台2台」で

は無く「一挺二挺」で有る。

“Chaconna”は独立した作

品では無く、Partita Nr.2

の五つの舞曲の一つで有

り、是だけで十五分の演

奏時間は寧ろ長大で有る。

スケールは途轍も無く大きい

が、人間のあらゆる感情

が詰まっている作品か?

抑、バッハは“感情の音楽”

か?其は他のバッハ作品も

聞いてバッハの全体像を知

れば自ずと判る筈で有る。

ミルシテインの演奏は所々、意

味無く音符を異様に伸ば

したり、同じく無意味な

Artikulation、Rubato、Ag

ogikや音程の甘さで、作

品を台無しにして居るが、

是はE´cole franco-belge=

フランコベルギー楽派の奏法で、

バッハに用いる可きで無い。

音楽を芸術として評価す

る場合には、演奏家への

気紛れな贔屓感情等では

無く、飽く迄、作曲家の

傾向性、其思想哲学に適

って居るか否かで演奏其

物を評価せねば成ら無い。

バッハは「狂気」等では無い。

【トーマス・ゴールド】

此人は、世間的には無名

の様だが、素晴しい演奏

をする人だ。特に、全体

の纏りの完成度の高さで

は、是だけの並み居る巨

匠、新進気鋭の内でさえ

太刀打ち出来ぬで有ろう。

多くの才能が、世に出て

名声を勝取る為、間違っ

た方向にガツガツと鎬を削

る其隙の真空地帯に本物

の本質が置去りにされて

有る。実直な若者が其を

拾い上げ、宝物としてポケ

ットに大切に仕舞い込んだ。

─そんな印象を抱かせる。